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5年間続いた三角保ち合いを突破して112円台をつけたドル円

ドル円は2/19日に111円をつけてから、翌日2/20の日本時間の18時半頃に112円をつけました。112円という節目は実は昨年の5月につけていていますが、それ以上に5年続いたトライアングルを抜けたことに、マーケット参加者の心理状態へ与える影響は大きいものがあります。このトライアングルは昨年の年初のフラッシュクラッシュと呼ばれる、108円から次の瞬間には104円を付けたという異常事態時にも抜けることはありませんでした。
ドル円のボラティリティは年々低下しており、株式や金利が大きく動いてもドル円はほとんど動かないような蚊帳の外状態が長らく続いていましたが、現在は円の値動きに注目せざるを得ない状況となっています。
ドル円が112円まで上昇した理由の考察
・円がリスク回避通貨である根拠が乏しくなっている
・上昇を続ける株式相場とリスクオフムードが同時並行している
・コロナ感染拡大によるアジア通貨、リスクオフ通貨が売られている
円がリスク回避通貨である根拠が乏しくなっている
円はながらくリスク回避通貨として扱われていましたが、最近では疑問の声も少なくありませんでした。元々円がリスク回避通貨と考えられていた理由は
・低金利通貨であること。
通常時は、金利の高い通貨にお金はあつまる。典型例はいまだ10年金利が1.4%程度ある米国の債券を買う動きだ。日本の年金預金の資産の組み入れ比率も海外債券への比率を増やしている。そうでなければ金利収益が望めないからだ。しかし、一度リスク回避ムードになると、そういった対外投資の巻き戻しが起こり円が買われる。
・経済大国であり(過去)デフレ通貨であること
経済大国であり、国の信用が高かったこと。また、デフレ通貨であるため購買力が低下しにくい通貨であることを背景に安全通貨とみなされていた。
・リーマンショック時に円がしこたま買われた経験。
それ以降美人投票のように、リスクオフ時には皆円を買うから買うというような状態が今日まで続いていたといってもよいと思います。
過去、円が安全通貨として買われていた理由はざっくり上記のようなイメージです。
しかし、低金利通貨といっても日本より健全な財政状態であるユーロのほうが優れていますし、経済大国であるというブランドも今では過去の栄光で最近では経済の規模よりも少子高齢化による経済成長の鈍化の方に注目があつまっています。現状ではなく、先を見るのがマーケットの常ですから、財政不安、経済不安のある円を安全通貨と買うことには疑問を感じる人が増えてもおかしくありません。代替通貨もありますし。そうなってくると、過去の経験から美人投票のように買われる動きも少なくなってくると考えられ、今後は益々リスクオフ通貨として扱われることがなくなるのではないか、と考えています。
では今がリスクオフムードであり、そのため円が売られたのでしょうか?調整はしていますが、株は上昇を続けていますね。
上昇を続ける株式相場とリスクオフムードが同時並行している
今株式市場が上昇し続けている理由は、世界的に、中央銀行の緩和政策による低金利環境であることや資産買い入れ(ECBも買い入れを再開した)などによって、お金が大量に余っていることが主要因だと考えています。
なので、株が上昇し続けている理由を必ずしもアメリカの経済の堅調性では説明しきれず、むしろ直近の金利の動きはコロナ感染拡大の警戒感の高まりによるリスクオフムードの表れではないかと考えています。
その流れで、感染拡大が顕著になってきた日本をはじめとしたアジア圏の通貨やAUDなど通常リスクオン時に買われる通貨が売られやすい環境下になっていたこともドル円が上昇した理由として考えています。
今後の予想
レンジを大きくにけてしまっているので、テクニカル分析よりも大局的な予想を今回はしてみます。
・感染拡大が止まる気配がないこと
・トライアングルを抜けて、目線が上になっていること
・米資産買いが顕著(金利、株)であり円からお金が引かれる環境が続くこと
を根拠に、上昇目線でいます。113円の節目を抜けるには時間を要する可能性があるので当分は調整及びレンジ相場が続く可能性がありますが、オプションのバリアが大量にあるであろう115円まで抜けてしまえば上には何もなくなるので上昇したときのリターンには目がくらみます。
今のポジション
少額ですが、その時々の主役にべっどしています。
最近だと安値つけた原油の買いが熱かったです。難しかったですが・・・・。
最初は安値つけたユーロドルの逆張りで入ってわっしょいしていたのですが
現在はドル円を111.85あたりで買ってしまって、悲しい状況です。


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