オプション取引におけるスマイルカーブの説明をします。
横軸にストライク、縦軸にボラティリティとしたときの曲線のこと
通貨オプションのボラティリティとストライクについて
通貨オプションは1ヵ月後や2か月後にドル円をいくらかで買う権利を売買することです。
・1ヵ月後に105円で買う権利の105円のことを行使価格=ストライクと呼びます。
・1ヵ月や2か月の間にどれくらい価格が変化するかを表す指標を
ボラティリティといいます。
※ボラティリティを正確に理解しようと思うと結構難しいです。
以下の記事で説明しています。
https://kumicho.jp/volatility
実際にスマイルカーブのグラフを見てみましょう!

このグラフの説明をします。
・原資産ドル円の期間1Y(年)のオプションについて
・縦軸にボラティリティ
・横軸にストライク
を並べたグラフです。
グラフ中の用語の解説をします。
グラフの横軸は行使価格(ストライク)ですが、表記が見慣れないですよね。
横軸に書かれているのは行使価格自体(例えば110円とか)ではなく発生確率が並べてあります。
真ん中のATMはAt The Moneyの略で、最も発生確率の高いつまり50%のストライクを意味します。今ドル円が109円くらいなので1年であれば大体70~90円くらいでしょうか?
なぜ1年後の為替レートが現在のレートより低くなるかは以下を参照ください。
https://kumicho.jp/hedgecost
次に、ATMの右側は45Cとか左側は45Pとか書いてあります。
・45C=45%のCall
・45P=45%のPut
という意味です。
ストライクが高ければ高いほどCall(買う権利)の発生確率は下がり
ストライクが低ければ低いほどPut(売る権利)の発生確率は下がります。
縦軸はそのストライクのオプションのインプライドボラティリティが表示されています。上に行けば行くほどボラティリティが高いということです。
以上がスマイルカーブのグラフの解説です。
このグラフがニヤリと笑った時の口元の形に似ていることからスマイルカーブと呼びます。
ではこのスマイルカーブから何が分かるでしょうか?
スマイルカーブの形状から予想する為替相場
このことはとても示唆に富んでいます。
見ればわかるように発生確率は同じ40Putの方が40Callより高いですよね?
発生確率が同じであれば、利益が得られる確率も同じですから縦軸のボラティリティも同じ水準になりそうです。
ボラティリティが異なる理由は
ドル円の円高を警戒している人の方が多いから
です。
元来ドル円はリスクオフ時に売られます。
リスクオフ時の円高のスピードがリスクオン時の円安のスピードより歴史的に早いため、マーケット参加者に下に行くリスクの方が高く見積もられているのです。
あなたが下に行く可能性が高くないと思えば今のPutのオプションは高いので
オプションを売る戦略を取るべきだということになります。
ストライクによってボラティリティが違う。
上記のスマイルカーブ1年後のストライクとボラティリティの関係ですが
そもそもボラティリティがストライクによって変わることって不思議ではないでしょうか?
1年間にドル円がどの程度動くかを予想したものがインプライドボラティリティですが、それってストライクが変わることで変化するものには思えませんよね。
オプション価格を計算するためのブラックショールズモデルでは実際ボラティリティは一定だと仮定します。
では、なぜスマイルカーブのようにボラティリティがストライクで変わってしまうのでしょうか?
それは
実務では取引されるオプション価格からボラティリティを逆算しているから
です。
理論的には、ボラティリティを一定に定めることでオプション価格も一対一の関係で算出されますが実務上は投資家がどのストライクが欲しいかによってオプション価格自体は需給要因で変動します。
需給の歪みによって変化するオプション価格から逆算されるボラティリティも一定ではなくなってしまうのです。
つまり、スマイルカーブの形状には需給が反映されているのです。
オプションは将来の取引ですから、言い換えると
投資家の将来の予想がスマイルカーブの形状で丸わかり
だということです。