哲学、思想

歴史の歴史を学ぶ~歴史の客観性について

この記事を読んでほしい人・歴史記述の恣意性に関心がある
・世界史の歴史に関心がある
・世界史をこれから学んでみようと考えている

今回は歴史についての面白い話をします。
難しいですが大人の雑談の材料として読んでみてください。

要約

最初にこの記事の流れを書きます。
・歴史とは何か
・歴史の客観性
・歴史の歴史
・歴史記述の問題点

このような流れで書いていきます。

歴史と神話の違い

人間の歴史と神話には深い関係があります。

人間は進化の過程で社会性を身につけました。

社会性とは、そのコミュニティの人間が何らかの物語を共有する能力のことです。
ある種の物語を共有することで自分たちの世界は”こういうものだ”という共通認識を人類は持ち、社会の秩序というものを自ずと作り上げていくのです。

そしてこの物語は必ずしも客観的な事実に基づいたものではありませんでした。客観的事実でないものを、事実であるかのように皆が認識することが秩序だった社会的な協調性を生みだすのです。

こうした機能を持つ物語は“神話”と呼ばれてきました。
こうした客観的な事実ではない神話との対比として歴史の特性が浮かび上がってきます。

歴史は神話とは違い、客観的事実に基づいた物語だと認識されています。
歴史が客観的事実に基づくべきだ、という主張した歴史家を紹介します。

雑学ポイント歴史主義を確立したレオポルド・フォン・ランケの二つの主張
・ただそれが如何にあったか
・各時代は神に直接する

・ただそれが如何にあったか
これは、歴史は書き手の主観によらず客観的事実に基づくべきだという主張です。

・各時代に神は直接する

これは宗教的主張ではなく、それぞれの時代は現在へ向かう途中経過として考えるのではなく、それぞれ完結した世界だと考えるべきだ、という主張です。

では本当に歴史は客観的なものなのでしょうか?

歴史は史料に基づいて書き手が客観的であろうと努力して書かれます。
しかし、全てを直接見聞きしたものや残っている文章のみに依存することはできません。

そうなると、何が事実であったかを書き手が選択し筋の通った物語に仕立て上げる必要性がどうしてもでてきます。

ある時代において、それが筋の通った説得性を持つかどうかは、その時代の集団の価値観や新年によって変わります。逆に書かれた歴史を集団が読むことである種の価値観や信念が生まれる側面もあるでしょう。

実際、中国では社会主義を正当化するために歴史は利用されてきましたし、慰安婦問題にしても韓国と日本で歴史の捉え方が違うように国が歴史を操作してきた過去もあります。

この意味で、歴史は神話性を持つのです。

歴史学という考え方と歴史の歴史

歴史学とは歴史をどのように書くべきかという学問です。

学校で歴史を事実であるかのように学んできた人が多いのではないでしょうか。
しかし、歴史自体が学問となりその正当性は議論され続けています。
そしてなお、たくさんの問題点が存在します。

歴史の問題点・近代を目的視していること
・ヨーロッパ中心主義

・近代目的視について
科学技術の発展、民主主義・資本主義の発展、政治の成熟、グローバル化など近代は歴史が辿ってきたゴールであるかのように考えられいます。しかし、近代は歴史の最終到着地点なのでしょうか?現代に生きるからゴールのように考えてしまいますが、歴史が偶然そのような歩みをしただけだと考え、近代を目的視することを批判する向きもあります。

・ヨーロッパ中心主義について
近代をゴールや目的のように考えると、産業革命を起こしたイギリスを筆頭にヨーロッパが世界をリードしています。民主主義の形もヨーロッパを中心に発達してきました。
ここで思い出してほしいのは

“各時代は神に直接する”です。

各時代がそれぞれ完結した世界であるように、その時代における各世界もそれぞれ個別に記述すべきことではないでしょうか?ヨーロッパの姿をゴールとして、ほかの国々がどの程度追いついてきたか、差があるかという視点で観察してしまっては異なる環境で異なる人種が辿ってきた固有の歴史を無視してしまうことになります。これが二つ目の歴史の問題点です。

歴史を絶対的事実とすることは、他人の主張を疑わずに丸のみすることと同じです。
聖徳太子が実は存在しなかったように、歴史は間違いを犯しますし、歴史の書き方自体もまだ議論の最中であり、未熟なのです。

くみちょーの考え

今回は歴史を批判的に考えてみました。
歴史には近代を目的視していることや、ヨーロッパを起点に考察していることなど偏見に満ちています。

でもかといって歴史を1から考え直してみたり、自分なりに歴史を再構築する時間は普通ありませんよね。

人間は生活する上で正しいものと正しくないものをある程度自分の主観や直感に基づいて取捨選択します。

歴史についても、多くの人が議論し、ある程度史料に基づいて、それを教科書に載せるまで様々なハードルを乗り越えてきたことを考慮すると一定程度信頼して学ぶべきでしょう。

教養としての歴史の学び方

以下の本を読むと歴史が如何にあったかが分かります。