アンジェスの歴史
- 1999年12月 – 遺伝子治療薬、核酸医薬及び遺伝子の機能解析を行う研究用試薬の研究開発を目的として、大阪府和泉市に株式会社メドジーンを設立。
- 2000年 6月 – メドジーン バイオサイエンス株式会社に商号変更。
- 2001年 7月 – 本社を大阪府豊中市に移転。
- 2001年10月 – アンジェス エムジー株式会社に商号変更。
- 2002年 9月 – 東京証券取引所マザーズに上場。
- 2004年 3月 – アンジェス MG株式会社に商号変更。
- 2004年 9月 – 本社及び研究所を大阪府茨木市に移転。
- 2017年 7月 – アンジェス株式会社に商号変更。
研究開発
HGF遺伝子治療薬 – HGF(肝細胞増殖因子、hepatocyte growth factor)の遺伝子を患部に投与することにより血管の新生を促し、末梢性血管疾患(閉塞性動脈硬化症やバージャー病)や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の治療を行う。
NFκBデコイオリゴ – デコイとは、ゲノム上の転写因子結合部分に転写因子が着地することを阻害して遺伝子の働きを抑える働きをする短い核酸 (DNA) であり、核酸医薬の一種。免疫反応を強める遺伝子のスイッチである転写因子 NFκB に対するデコイを投与して、アトピー性皮膚炎や関節リウマチなどの免疫炎症性疾患の治療を行う。
現在使われているアトピー薬にはステロイドが入っていて副作用も大きいんだけど、デコイはステロイドが入ってない新しいアトピー性皮膚炎治療薬として注目されていた薬だよ。一時はメドレックスと一緒に貼付剤化にも取り組んでいたんだけど臨床の結果アトピーに効果がなく治験失敗でいまは関節リウマチの薬としての上市を目指しているよ。
DNAワクチン – 遺伝子医薬(DNAプラスミド製剤)で発現させた抗原に対する液性免疫を誘導して標的分子の作用を中和することで、癌などの難治性疾患や生活習慣病の治療を行う。
2016年始動の新しいラインだね。高血圧DNAワクチンの開発を目指してるようだけどデコイオリゴの失あとすぐにIRが出たので株価対策なのでは?といわれていてあまり期待されてないよ!
まあいろいろと開発していてこれらの医薬品の開発・販売にあたって、塩野義製薬、田辺三菱製薬といった日本の製薬企業と一部提携を結んでたりもする。
さらに2020年3月5日、アンジェスは2019新型コロナウイルスへの感染を防ぐワクチンを大阪大学とタカラバイオと共同開発すると発表したね。現在の株価上昇はこれが要因!
アンジェス治験失敗の歴史
2013年アロベクチンの治験失敗!55億円が無価値に!

2016年アトピー性皮膚炎治療薬の治験に失敗!
先に述べたデコイの大失敗。フェーズⅡ試験で統計学的な有意差を得られていなかったにもかかわらずフェーズⅢを強行。結果はもちろん失敗でお金だけ消える事態に。
2017年原発性リンパ浮腫治験失敗!!
コラテジェンといえば先に説明した通り重症虚血肢とした薬なんだけど実は原発性リンパ浮腫に対しても臨床試験をやっていたんだ。結果はというとコラテジェンとプラセボ(偽薬)との間に大きな差はみられなかったとのこと。はい失敗!!
2017年アロべクチン開発撤退!!
アロべクチンといえば悪性黒色腫を対象とした治療薬って話をしたよね。あの治験失敗の後頭頸部がんなど他の固形がんへの応用を進めていたけどそれも断念!!
毎年数十億の赤字!繰り返される増資!
ここまでアンジェスの散々な開発失敗の歴史を見てきたよ。新薬ができるまでには9~15年かかると言われていて予算も数百~数千億必要だといわれている。しかしアンジェスはまだ何一つ開発に成功していないため収入はゼロ!上場以来18期連続赤字だ!
しかしアンジェスには必殺技があるんだ。
という事でこれを見てほしい。これまでアンジェスの株価が急騰した場面をいくつかピックアップしたよ
2013年

これはアロベクチンⅢ相試験結果待ち相場の時のだね。あいだにデコイの開発状況やテレビでよく取り上げられてた子宮頸がんワクチンの副作用治療プロジェクトなど魅力的に見えるIRがどんどん出てきたので株価も暴騰したよ。そして上手くあいだに増資の権利行使を織り交ぜてお金をゲットしてるのが分かるね。
2016年

次はデコイのアトピー治療薬Ⅲ相試験結果待ち相場のだね。このときもデコイだけでなくコラテジェンのIRがいくつか出てきた。さらにはアフリカでエボラが流行っててエボラの薬を開発するという発表まであったりで株価が上がりまくった。そしてしっかり増資もしてる。
2020年

そしてこれは今回のコロナ相場。かなり早い段階でコロナに目をつけて無事増資を成功させている。毎日出されるIRの量も尋常じゃない。
そう!株価つりあげて行使価格修正条項付新株予約権(MSワラント)という方法で増資を行うのがアンジェスの得意パターンだよ。増資総額は上場18年で327億円。アンジェスがどういう企業かわかってきた?
そうだね、ここは日記(IR)を書いて株券を発行(増資)する株券印刷業の会社って言われてるよ。
さらにとんでもない事があるんだ!下に上場企業の平均年収ランキングがあるんだけど、これの26位に注目してほしい。
上場企業の年収ランキング Top 100
順位 | 会社名 | 平均年収(万円) |
---|---|---|
1 | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 | 3,109 |
2 | 株式会社キーエンス | 2,110 |
3 | ヒューリック株式会社 | 1,760 |
4 | 株式会社三菱ケミカルホールディングス | 1,738 |
5 | 三菱商事株式会社 | 1,607 |
6 | 株式会社東京放送ホールディングス | 1,586 |
7 | ソレイジア・ファーマ株式会社 | 1,560 |
8 | 伊藤忠商事株式会社 | 1,520 |
9 | 日本商業開発株式会社 | 1,501 |
10 | 三井物産株式会社 | 1,430 |
11 | 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス | 1,429 |
12 | 株式会社日本M&Aセンター | 1,413 |
13 | 株式会社テレビ東京ホールディングス | 1,411 |
14 | 住友商事株式会社 | 1,389 |
15 | 丸紅株式会社 | 1,389 |
16 | 株式会社テレビ朝日ホールディングス | 1,387 |
17 | 野村ホールディングス株式会社 | 1,384 |
18 | 株式会社マーキュリアインベストメント | 1,373 |
19 | 日本テレビホールディングス株式会社 | 1,372 |
20 | ファナック株式会社 | 1,364 |
21 | ショーボンドホールディングス株式会社 | 1,363 |
22 | 株式会社ストライク | 1,343 |
23 | 東京海上ホールディングス株式会社 | 1,338 |
24 | 株式会社RKB毎日ホールディングス | 1,309 |
25 | 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 | 1,303 |
26 | アンジェス株式会社 | 1,275 |
27 | 東京エレクトロン株式会社 | 1,272 |
28 | 三井不動産株式会社 | 1,263 |
29 | ソフトバンクグループ株式会社 | 1,253 |
30 | 朝日放送グループホールディングス株式会社 | 1,251 |
そう、誰もが知ってるような有名企業の中に堂々とアンジェスがあるんだ。
そうだよ!実は増資で株主から毟り取ったお金が社員(殆どが役員)の給料になってたんだ!
過去にこれだけ増資を繰り返してたのも何とかして薬を作って患者さんを救いたい気持ちがあったのかもしれないね。
まとめ
みんなアンジェスがどんな会社かわかったかな?
表の顔はバイオ製薬企業
裏の顔は株券印刷業
平均年収が高い
上場以来18期連続赤字
ここまで散々言ってきたけどアンジェスが難病や有効な治療法のない疾患をもつ患者のために薬を開発してくれてるのは事実だからね。増資をしまくってるのも株主の幸せより患者のことを第一に考えているからかもしれないし会社が晩年赤字なのに難しい薬の開発をやめないのも患者さんのためなのかもしれない。
たった一つ、確かなことは株主のことはマジで全く考えていない。
株を買って応援してあげてもいいんだよ?

